ふるさとおこしプロジェクト

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SAKU美SAKU楽

MAGAZINE ふるさと図鑑

津山市/Okayama Table TERRA 坂本涼太

SAKU美SAKU楽|津山市/Okayama Table TERRA 坂本涼太

【前編】
美しき旅を彩る
野菜の味わいを生かした特製弁当

名湯・美作三湯(みまさかさんとう)や桜の名所など、豊かな自然が旅心を誘う岡山県北エリアの旅。心ゆくまで旅を堪能した帰り道、津山駅を発車する観光列車「SAKU美SAKU楽」内で味わえるのが特製弁当「岡山県北イロドリちらし」だ。県産牛ローストビーフと県北エリアの食材が彩り豊かに並び、目にも鮮やか。美しき旅の締めくくりを豪華に彩ってくれる。

見た目の美しさはもちろん、イタリアンのアレンジを効かせたおかずの一つひとつの味わいが美味。

岡山県北の魅力が詰まった
華やかなヘルシーばら寿司

岡山県北地域の食材がふんだんに盛り込まれた特製弁当は、ミシュランガイド2021特別版で一つ星を獲得したイタリアンシェフ・寺田真紀夫氏が企画・監修。コンセプトは「からだの中から美しく」。提供しているのは津山市のイタリア料理店「Okayama Table TERRA(テラ)」だ。企画から携わってきたTERRAの坂本涼太シェフはこう語る。「コンセプトを聞いたとき、まず思い浮かんだのが地元で採れる新鮮な野菜でした。メニューには体に優しい、美肌に良いといわれる食材を多く使っています。また、一つひとつの味わいや見た目にもこだわって楽しめるよう工夫しました」。

一番に目を惹くのは、野菜の彩り鮮やかなばら寿司。ばら寿司は祭りや祝い事のときに食べる岡山県の郷土料理だが、岡山県北地域の野菜だけでヘルシーに仕上げている。津山産のハトムギや大豆などを混ぜた雑穀ごはんの酢飯の上に、作州黒豆煮、椎茸のワイン煮、紫キャベツ・蓮根のピクルスなど15種類以上の野菜が並ぶ。副菜のアンチョビポテトサラダや津山産カボチャコロッケも味わい深い。観光客からは「たくさんの種類の野菜が一度に食べられてうれしい」「野菜そのものの味がおいしい」と好評だ。

楽しい旅を思い出しながら味わう
贅沢な一品

津山といえば肉は欠かせない。古くから牛馬の流通が盛んな土地で、肉食が禁止されていた明治以前でも津山藩の領内では近江彦根藩(滋賀県)と並んで、薬として肉を食べる「養生食(ようじょうぐい)」の習慣が残されていた。そのため食肉加工や肉の卸売業が発達したといわれる。

特製弁当ではどのような肉を提供するのか。TERRAの姉妹店であるステーキハウス「Steak&Wine Bocci(ボッチ)」の坪井伸輔シェフにも相談し、「弁当は冷たい状態で提供するのでやわらかい食感で味わえるローストビーフに決定しました」。部位は県産牛のもも肉を使用。調理はコンベクションオーブンを使って低温でじっくり加熱している。とろける舌触りとやわらかな食感で、口に含むと肉のうま味がしっかり感じられる一品だ。「弁当を味わいながら岡山県北の旅を思い出し、またぜひ足を運んでいただきたい。そんな想いを込めて作っています」。

寺田シェフ監修特製弁当 岡山県北イロドリちらし 提供/Okayama Table TERRA
体の中から美しくをコンセプトに、イタリアンシェフ寺田真紀夫氏が監修。地元の食材にこだわった特製弁当をお楽しみいただけます。
※お茶付き

写真提供/Okayama Table TERRA

【後編】
地産地消の食材を
余すことなく大事に使う

TERRAは2013年にオープン。地産地消の食材をメインにパスタやピザなどイタリア料理を提供している。オーナー・寺阪 渉さんと高校の同級生だった坂本シェフは店の開業とともに飲食業の世界へ。オーナーや知人のシェフから知識や技を学び、現在は店長として店に立つ。水、空気、土のきれいな県北地区で育つ野菜のおいしさは実感していたが、無農薬野菜を栽培する農家との出会いが意識を大きく変化させた。「育てる過程や苦労、喜びなど知ったことで、野菜に対する想いが強くなりました。作っている方の顔が見える。だから、余すことなく大事に使わせていただくし、お客様にも伝えていきたい」。

生産者の元に足を運び収穫の手伝いや野菜の知識を学ぶ坂本シェフ。畑から収穫した泥付きニンジンを水洗いし、丸かじりで味わう。「みずみずしくて、とても甘かったです」。

美作市にある「さとみ農園」のさとみゆうすけさん。農薬や除草剤、化学肥料を一切使わない健康な土づくりにこだわった農業を40年以上続けている。仕入れた野菜は「SAKU美SAKU楽」の特製弁当にも使用。

津山市「坂手牧場」ではチーズつくりに適したブラウンスイス牛を飼育し、採れたての生乳を使ってチーズを製造。TERRAで人気のピザには坂手牧場のモッツァレラチーズを使っている。

無農薬栽培でお米を育てる農業体験。除草機を使って稲の周囲に根付いた雑草を除去していく。生産者の苦労や喜びを知ることで、仕事に向き合う意識も変わる。

岡山県勝央町「農園・空」の岡本光司さん。2017年創業。「自然農法で栽培されるお米や野菜の知識について、詳しく教えてもらっています」と坂本シェフ。

食材はできるだけ地元にこだわりたい。大自然に囲まれた津山市阿波から養殖のニジマスを仕入れている。

野菜の多くは坂本シェフが契約農家へ出向き、直接取引をする。大きさや形がふぞろいで市場に出荷しにくい規格外のものであっても、品質に問題がなければ定価で購入。農家から旬のものをいただく機会も多い。素早く下処理をして店のメニューに加える。また、調理の際に出る野菜のヘタや皮は、イタリア料理のだしであるブロードにして使うなど食品ロスにも配慮している。

野菜本来の味を生かし
作り手の想いを一皿に込める

オーナー家族とともに農園に足を運び、野菜を収穫することもある坂本シェフ。その時の写真を見せてもらった。画面には嬉しそうにスナップエンドウを手にする生産者の笑顔が。新鮮な野菜はそれだけでおいしい。下手に手を加えず、食材本来の味を引き出す調理法を実践する。「同じ野菜でも食べ飽きずに、野菜ってこんなに甘い、こんなにおいしいんだと実感してもらいたい」。熱い口調に思わず惹きこまれた。

「例えばキクイモの場合、生だったらシャキシャキ、ちょっとゆでるとホクホク。火の入れ加減で表情も違うし、甘みがあるのでそれだけでおいしい。店ではペーストにしてスープにしたり、パスタに使ったりしています」

この日いただいたのはパスタランチ。前菜は無農薬野菜を使ったサラダ、新玉ネギと実エンドウのオムレツなどの盛り合わせ。メインのパスタは鶏のうま味とトマトの酸味が効いた相性抜群のソースが美味。ディナーでは、ピザ生地の小麦粉からチーズ、バジルまで津山産というマルゲリータや、この時期しか食べられないウド菜や淡竹(はちく)、春キャベツを使ったパスタなど季節感あふれるメニューが並ぶ。TERRAでは農家の想いを料理に込めた極上の一皿が楽しめる。

(2023年5月取材)

information

  • Okayama Table TERRA(オカヤマテーブル・テラ)

    住所:岡山県津山市志戸部690-6[Google マップ
    最寄り駅:JR津山駅
    TEL:0868-23-6195
    営業時間:ランチ 11:30〜15:00/ディナー18:00〜22:00(金土日 18:00〜23:00)
    定休日:火曜日・第3水曜日
    https://okayama-table-terra.com/

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