
児島駅 vol.2
MAGAZINE あの駅この駅
岡山駅からはじまる瀬戸内めぐり
【あの駅この駅】児島駅 vol.2
深まる秋、児島が紡ぐあたたかな物語
瀬戸内の島々を舞台に3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭」(以下、芸術祭)。2025年の春・夏会期に続き、10月3日からは秋会期も始まっています。
秋会期では、瀬戸内海に浮かぶ島の9箇所に香川県沿岸部の5箇所が加わり、全14箇所で展開。そのひとつに、香川県丸亀市にある本島(ほんじま)があります。
本記事の前編「児島駅vol.1 秋の瀬戸内、ファインダー越しの本島」では、塩飽大工の手仕事が息づく本島の歴史ある町並みや、海に面した風景を巡りながら、地域に根差した店舗の取り組みなど、島の文化や暮らしに触れた旅の記録が綴られています。
vol.2 の今回は、岡山県側から本島へのアクセス拠点となる児島駅を起点に、児島駅周辺の魅力を巡る旅を紹介します。
児島には、瀬戸内海を望む宿や、地元食材を楽しめる宿など、魅力的な宿泊施設が数多くそろっています。近年は、デザインやコンセプトにこだわった個性的な宿も新しく誕生し、旅の楽しみ方がさらに広がっています。暮れていく瀬戸内海の夕景を眺めながら、のんびりとした時間に身をゆだねる——そんな贅沢を味わえるのは、宿泊した人だけの特権。魅力たっぷりの児島を、1日かけてじっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか。
児島駅〜おすすめ周遊コース ▶▶▶
- episode 1 児島駅
芸術祭を彩る、心あたたまるおもてなし > - episode 2 昼食
たかとうどん 本店
うどん文化が根付くまち「児島」 > - 中華そば こうた
ノスタルジックで新しい児島で味わう中華そば > - episode 3 児島ジーンズストリート
藍に染まる街で“ジャパンデニム”を探訪 > - episode 4 鷲羽山レストハウス(瀬戸大橋の夕景)
児島の一日を締めくくる瀬戸内の夕暮れ > - 鉄道の時刻表はこちら
JRおでかけネット
芸術祭を彩る、
心あたたまるおもてなし
episode 1 児島駅
本州と四国を結ぶ瀬戸大橋線。その終着点の一つ、岡山県倉敷市にある児島駅は、穏やかな瀬戸内の風が迎えてくれる、懐かしさを感じるローカル駅です。
児島駅と、瀬戸内海への玄関口となる玉野市の宇野駅では、3年に一度の「瀬戸内国際芸術祭」開催に合わせて、地域と連携した心あたたまる“おもてなし”を展開しています。
芸術祭を訪れる国内外の来訪者に、駅という場所から旅のワクワクを届けたい——。そんな想いで動き出した取り組みの数々を、児島駅管理駅長の高橋佳和(たかはし よしかず)さんと、副駅長の井上貴正(いのうえ たかまさ)さん、そして児島駅と宇野駅の両駅を担当する長松みずえ(ながまつ みずえ)さんに、お話を伺いました。
地域とともに、
駅から始まる歓迎セレモニー
2025年春、芸術祭のスタートに合わせて行われたのが、観光列車「ラ・マルせとうち」到着時の歓迎セレモニー。宇野駅のホームでは、地元・岡山県立玉野高等学校の吹奏楽部による演奏、保育園児たちによるお出迎えなど、駅全体が笑顔に包まれました。
「岡山県立玉野高等学校の演奏は、コロナ禍で発表の場が少なかった生徒さんたちにも良い機会になったようで、顧問の先生や保護者の方からも感謝の声をいただきました。園児たちの可愛らしい姿もあり、地域の皆さんと一緒に、お客さまをお迎えできたことは、本当にありがたかったです」
と、高橋駅長は振り返ります。
駅構内には、同校美術部が7〜8時間かけて描いたチョークアートも登場し、花壇の設置など彩り豊かに訪れる人々を楽しませました。

観光列車「ラ・マルせとうち」



観光列車「ラ・マルせとうち」到着時には、地元・岡山県立玉野高等学校の吹奏楽部による演奏が行われた。

岡山県立玉野高等学校美術部によるチョークアート。宇野駅では花壇なども設置して華やかに芸術祭の開幕を盛り上げた。

オリジナリティのある
アイデアで駅を彩る
児島駅と宇野駅では、手作りのスタンプ台紙や、芸術祭限定のオリジナル缶バッチの配布など、訪れる人の記憶に残る工夫が満載。
「何かできることを、みんなで考えよう」。そんな想いから、芸術祭の各会期前には、約30名の駅職員が集まり、年齢や役職を問わずアイディアを出し合うディスカッションを実施。「お客様に喜んでもらえることを第一に」という思いを軸に、できることをみんなで形にした、駅職員たちのあたたかな想いが詰まった、手づくりのおもてなしです。
夏会期が始まってすぐの8月3日には、「玉野まつり」の花火大会が3年ぶりに開催されました。最寄りの宇野駅では「氷柱」を設置。蒸し暑い夜、駅構内で一瞬の涼を届ける工夫は、来場者にも大好評だったといいます。

宇野駅で配布した王子が岳の 「ニコニコ岩」をモチーフにした駅員オリジナルイラストのスタンプ台紙。
春夏秋冬でイラストが変化する力作。

「全員で自分たちが担当する駅のおもてなしを考えて、アイデアを出し合うことで、スタッフ同士のコミニュケーションの場にもなっています」と高橋駅長。

玉野まつりの日に設置した、いろとりどりの金魚のモチーフを埋め込んだ涼しげな装飾の「氷柱」。

涼やかな演出は、子どもたちに大人気!
2025年10月から始まった秋会期でも芸術祭にちなんだ取り組みが始まっています。
宇野駅でも好評だったオリジナル缶バッチは、児島ならではのキャラクター「しおざえもん」をあしらったものを、児島観光港から本島行きのフェリー出航に合わせて、対象列車で到着された来訪者に配布しています(※数量限定)。

しおざえもんは、児島商工会議所による「倉敷児島塩結び(えんむすび)プロジェクト」の公式キャラクター。古くから児島地区で製塩事業で名を馳せ、塩田王と呼ばれた野崎武左衛門にちなんでいます。
さらに、駅構内では「駅職員によるアート展示」も開催中。職員が描いた絵や写真など、自身の好きなものを自由に表現し、駅をアートギャラリーとして展開。「うまくなくても大丈夫だから全員参加! と声をかけました」と笑顔で語る長松さん。

駅での装飾や演出など「どうやったらお客さまに喜んでもらえるか」を考えながらアイデアを出しているという。

駅職員によるアート展示。鉄道にちなんだ絵はもちろん、船、たこ、海など自由に表現した作品が並ぶ。
制作の過程では、「あの作品、誰の?」「こんなに上手だったんだ!」と嬉しい発見もあるという。

副駅長・井上さんの作品は、観光列車「ラ・マルせとうち」を描いたこちら。
前回の森の芸術祭 岡山でも好評だった、利用者から感想を募るポストも設置され、「楽しかった」「あたたかい気持ちになった」など、心に残る言葉が届いているそうです。また、この取り組みは社員同士のコミュニケーションにも一役買っているといいます。
児島駅では、「旅の思い出掲示板」も設置。日本語だけでなく中国語や韓国語、英語など、さまざまな国の言葉で彩られる寄せ書きから、国境を越えた交流のあたたかさが伝わってきます。

旅人の思い出のメッセージで埋め尽くされた駅構内の掲示板

季節感あふれるイチョウとモミジのメッセージカードも、長松さんのアイデア。
改札を出た場所には、観光港やジーンズストリートへ向かう案内表示も設置して旅人をやさしく誘導。こうした旅人を迷わせない地道な工夫も、駅を訪れた人へ安心感を届ける大切なおもてなしのひとつです。
2025年11月8日・9日(9日は秋会期最終日)は、「2025秋 児島フェス #せんいさい」が開催されます。毎年、ボートレース児島駐車場を会場に行われている、繊維の町 児島ならではの、地元メーカー・ブランドが多数出店する、岡山県内でも人気の一大イベントです。
児島駅では、ジーンズの町・児島を象徴するこのイベントに合わせ、駅員全員がジーンズの制服でお出迎え。児島らしい装いで来訪者を迎えるその姿は、地域と歩む、駅の象徴にもなっています。
「駅員のジーンズ制服の姿に驚かれる方もいらっしゃいます。みなさんに大変好評で、写真撮影をお願いされることも多いんですよ」と高橋駅長。


児島でつくられたジーンズメーカーのジャケットに、オリジナルのロゴデザインを施した大人気のジーンズ制服。


児島駅2階にある、瀬戸内海を背景にしたフォトブース。旅の記念撮影にぴったりのスポット。

あたたかな物語が
生まれる駅へ
都市のターミナル駅とは違い、児島駅や宇野駅のようなローカル駅には、駅員と利用者との距離の近さがあります。毎日の通勤・通学で顔を合わせるうちに、自然と声をかけ合う関係が生まれる―そんな温かい空気が、ここには流れています。
「やっぱり一番うれしいのは、お客様から“ありがとう”と言っていただけたときですね。たったひと言なのに、とても嬉しい気持ちになるんです」と語ってくれたのは、高橋駅長。

長松さんも、こんなエピソードを話してくれました。「宇野駅で、毎朝『行ってきます』と声をかけてくれていた高校生が卒業して、ご両親が『3年間ありがとうございました』と挨拶に来てくださったんです。
こんなふうに感謝の気持ちを伝えてもらえるなんて、本当にうれしくて……。この仕事をやっていてよかったなって思いました」。
日々のあいさつ、小さな声かけ、何気ないやり取りの積み重ねが、駅を“また帰ってきたくなる場所”にしているのかもしれません。


副駅長の井上さんも、こう続けます。「お客様にもっと“駅を身近に感じてもらいたい”という思いで接しています。気持ちに寄り添って、ちょっとした一言をプラスしたり、対応の仕方ひとつで、気持ちが伝わることってありますよね。そんな心配りを大切にして、地域に愛される駅を目指していきたいです」。
芸術祭という大きなイベントをきっかけに、今日も児島駅、そして宇野駅では、人と人との間に生まれるあたたかな物語が紡がれています。

うどん文化が根付くまち「児島」
episode 2 たかとうどん 本店
児島には、多くの個性豊かなうどん店が点在しています。その背景には、児島が古くから“繊維の町”として栄えた歴史があります。
対岸に位置する香川県から、かつて多くの女工さんたちが縫製の仕事を求めて児島にやってきました。やがてその流れのなかで定住する人も増え、香川のうどん文化が自然と児島のまちに根付いていったといわれています。
今回は、そんな児島のうどん文化を象徴する名店「たかとうどん本店」を、児島駅 高橋駅長の案内のもと、井上副駅長、長松さんとともに訪ねました。

麺のコシと香りが際立つ「しょうゆうどん」
児島駅から歩いて約10分。地元で長く愛されている「たかとうどん本店」に到着。看板メニューは「しょうゆうどん」。ゆでたてのコシのある麺に、たっぷりの大根おろしと薬味を添え、仕上げにしょうゆをひとまわしかけていただくシンプルな一品です。
高橋駅長は「遠方から児島に来た方を案内すると、みんな本当に喜んでくれるんです。最初におすすめするのは、やっぱり“しょうゆうどん”。しょうゆをかけるだけ、というシンプルな味付けなのですが、これが本当においしい。大根おろしとネギを豪快にかけて、一気に食べるのがおすすめです」。

高橋駅長と井上副駅長が選んだのは、しょうゆうどんに、とりの天ぷらがセットになった「とり天しょうゆうどん」。

長松さんは「天ぷら玉子とじうどん」

親子二代で受け継がれる味と想い
「たかとうどん」は1990年に児島で創業。現在の場所へは約14年前に移転し、今も変わらず多くの常連に親しまれています。
営業は11時から14時(2025年10月現在)。地元の人々はもちろん、近年では観光客や外国人の姿も増え、昼どきの店内は活気に満ちています。
現在、お店を切り盛りするのは店主・高都能成(たかと よりなり)さんと、妻の芳恵(よしえ)さん。創業者である父・高都順一さんの跡を継いで、店を支え続けています。
「高校を卒業して、いったんは会社に就職したんです。でも、父がうどんを打つ機械で手に怪我をしてしまって……。『もうできんから、ちょっとやってくれんか』と頼まれ、店に立つようになったんです。店を始めて5年ほど経った頃だったと思います」
そう振り返る能成さん。思いがけず店を継ぐことになり、最初の頃は戸惑いや葛藤もあったといいます。
「正直、楽しいと思えない時期もありました。でも、継いで2年ほど経った頃、常連のお客様に『おいしかった。もう親父さんを超えとるわ』と言っていただいたんです。『いや、まだまだですよ』と返したんですが、その一言が本当に励みになって。今でも心に残っています」


たかとうどん本店・店主・高都能成さん

奥さまの高都芳恵さん
お客さまの声から生まれる
多彩なメニュー
「たかとうどん」のメニューには、地元の声が反映された品々が並びます。
「お客さんから『こんなのがついてたらいいな』とか、『天ぷらがちょっとだけあるのも欲しい』といった声をもらって、応えているうちに自然とメニューが増えていきました。人気の“あげもちうどん”も、そんなひと言から生まれました」と、芳恵さん。
「『これ、食べたい』と声をかけてもらえれば、たいていのものは作れますよ」と能成さんも笑顔で語ります。
「しょうゆうどん」に次ぐ人気は、「肉玉子とじうどん」や、各種天ぷら付きのうどん。外国人観光客にも好評で、とくに野菜の天ぷらはベジタリアンやヴィーガンの方々に喜ばれているそう。
出汁には北海道産の昆布の中でも、他店があまり使わない品種をあえて選ぶというこだわりも。その旨味のつまった出汁は、おでんでも味わうことができます。

出汁につかったおいしそうなおでん。香川のうどん店でも、おでんを提供するお店が多いという。

たっぷりのゆず味噌でいただくのがたかと流。
取材中にお店に顔を出してくれた、店主の父で創業者の順一さんに、現在のお店について聞いてみました。
「もう二人に任せているから、安心しています。任せた以上は何も言うことはない。ちゃんと努力してやっているからね。だから、お客さんは自然と来てくれる。自分たちの好きなようにしてくれたらそれでいい」。
能成さんは言います。「地域の人にずっと愛される、そんな店でありたいと思っています。毎日、昨日より少しでもいいものを作ろうと。小麦粉の状態や塩加減、茹で時間も日によって調整しています。“いつも通りの味”を守るには、手を抜かずに向き合う。それが大事だと思っています。」
まっすぐな職人の想いと、地域とのつながりが、この町のうどん文化を今日も支えています。


ノスタルジックで新しい
児島で味わう中華そば
episode 2 中華そばこうた
児島エリアには、昔ながらのうどん店がある一方で、新しい感性を取り入れたラーメン店も少なくありません。なかでも、児島駅東出口から徒歩5分の「中華そば こうた 児島本店」は、木のぬくもりを感じさせるナチュラルな内装と、洗練された雰囲気のある魅力的な一軒です。
看板メニューは、鶏ガラスープをベースにした「中華そば」。一口目から感じるのは、まろやかな鶏の旨みと、後を引く魚介の風味。ほんのりとした甘みが全体をやさしく包み込み、トッピングのほうれん草が彩りと爽やかさを添えています。ノスタルジックな中華そばの味わいを残しながらも、現代的で上品な一杯に仕上がっており、老若男女問わず食べやすい味わいです。
また、ピリ辛の「辛ねぎそば」や香ばしく仕上げられた「焼きめし」、さらに自家製の餃子やジューシーな唐揚げなど、サイドメニューも豊富に揃い、どれもが丁寧な仕事ぶりを感じさせる逸品ばかり。地元客のみならず、児島駅や児島観光港からの観光客も多く訪れる、人気のラーメン店です。



中華そば(950円)、辛ねぎそば(1,100円)、焼きめし(750円)のほか、餃子や唐揚げなど豊富な定番メニューも楽しめる。


藍に染まる街で
“ジャパンデニム”を探訪
episode 4 児島ジーンズストリート
児島は、江戸時代から繊維業が盛んで、1960年代には日本で初めてジーンズの国産化に成功した地域です。以来、「国産ジーンズ発祥の地」として、国内外から大きな注目を集めています。
そんな児島の魅力を体感できるのが「児島ジーンズストリート」。
児島駅から車で約4分、徒歩で約15分の場所にあり、かつて街の中心市街地として栄えた味野(あじの)商店街の空き店舗を活用して生まれた観光・商業エリアです。2009年に地元の産業振興とまちおこしの一環として始まった「児島ジーンズストリート構想」によって誕生しました。
旧野﨑家住宅から野﨑の記念碑までを結ぶ、全長約400メートルの通り沿いには、地元ジーンズメーカーの直営店や関連ショップが軒を連ね、“ジャパンデニム”の魅力を発信し続けています。

この通りの象徴ともいえるのが、旧野﨑家住宅。江戸時代後期、塩田を築いた野﨑武左衛門の邸宅で、約3,000坪の敷地には主屋を中心に6棟の土蔵が並び、庭には茶室も備えられています。往時の繁栄を今に伝える空間で、土蔵の中では塩づくりの資料や、江戸時代の民具なども展示されています。




旧野﨑家住宅の向かいにあるのが、「CAFÉ JAPAN BLUE GARDEN(カフェ ジャパンブルーガーデン)」。
このカフェを運営するのは、1992年創業の株式会社ジャパンブルーです。児島を拠点に、オリジナルのデニム製品を製造・販売するだけでなく、“ジャパンデニム”の文化と魅力を世界に発信している企業です。
カフェでは、児島らしさを感じさせる、ここでしか味わえないオリジナルのドリンクやスイーツが楽しめます。
中でも、瀬戸内産レモンと倉敷産ラムネを使用した「青い、ラムネード」は、甘酸っぱく爽やかな味わいで、旅の疲れをリフレッシュしてくれます。スタッフの福岡菜々美さんが、「青い生クリームは自家製です。青空のように澄んだ藍色は、『リナブルー®』と呼ばれる、海藻から抽出された食品用の天然青色着色料を使用しているんですよ」と教えてくれました。
このほかにも、藍を焙煎したほうじ茶風味の「藍茶」や、倉敷市で桃農園を営む竹中農園の桃をまるごと使用した「岡山県産白桃フラッペ(数量限定)」など、季節ごとに楽しめるメニューがそろっています。ドリンク片手にストリートを散策するのもよし、お店の奥に設けられた縁側やテラス席で、ゆったりと過ごすのもおすすめです。
カフェでは、児島らしさのあるデニムや雑貨など、他ではなかなか出会えない地元の逸品も販売しています。





カフェから通りを南に1分ほど歩くと、同じくジャパンブルーが展開する直営店「Japan Blue Jeans 児島店」があります。
こちらは、海外でも評価の高い美しいシルエットと、日本の職人技を融合させたブランド「Japan Blue Jeans」の世界観が体感できるショップ。築80年の古民家をリノベーションした店舗は、町並みに自然に溶け込みながらも、強い個性と存在感を放っています。

2025年の秋には、ブランドを刷新し、新たなプロダクトラインの展開をスタート。
その軸となるのは、「伝統的な職人技」と「現代の先端テクノロジー」の融合。これまで以上に多彩で進化した“ジャパンデニム”との出会いが期待されています。
Japan Blue Jeansをはじめ、約40のジーンズメーカーが集まる児島ジーンズストリートは、ものづくりの歴史と進化を肌で感じられる場所。
この地に根付く伝統と革新の精神は、今も息づいています。

児島の一日を締めくくる
瀬戸内の夕暮れ
episode 4 鷲羽山レストハウス(鷲羽山の夕景)
旅の終わりにふさわしい絶景の夕陽を求めて、児島南端の下津井に位置する「鷲羽山(わしゅうざん)」を訪れました。
瀬戸内海国立公園を代表する景勝地である鷲羽山は、鷲が翼を広げたような美しい稜線が特徴的です。山頂からは、瀬戸内の穏やかな海に重なり合うように浮かぶ島々、そして瀬戸大橋が織りなす雄大なパノラマを一望できます。
瀬戸大橋は、岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶ全長約13kmの橋で1988年に開通しました。道路と鉄道が通る二層構造が特徴で、吊橋・斜張橋・トラス橋など、構造の異なる複数の橋によって構成されています。機能性とデザイン性を兼ね備えた名橋としても知られ、島々の間を縫うように架かるその姿は瀬戸内海の穏やかな風景と調和し、まさに人と自然の共演といえます。
大小さまざまな島々が折り重なるように連なり、晴れた日の夕刻には、海と空がやわらかく染まって溶け合うような光景が広がります。「日本の夕陽百選」にも選ばれた景観は、季節や時間帯によってその表情を変え、いつ来ても飽きることがありません。


地域色豊かなレストハウス
児島駅からは、下電バス(下津井循環線)で約30分、「鷲羽山第二展望台」バス停で下車し、山頂にむけて階段を登った先にあるのが、2025年4月にリニューアルオープンしたばかりの「鷲羽山レストハウス」です。
ここは、瀬戸内海を一望できる開放的なカフェやセレクトショップ、展望スペースなどを備えた、地元の方をはじめ外国人観光客も多く訪れる人気のスポットです。
店内には、倉敷児島塩結びプロジェクトの「塩田王 野崎家の塩」や、その塩を使った加工品をはじめ、児島唐琴地区の「髙田織物」が手がける畳縁シリーズ、児島のデニム製品やTシャツなど、岡山県内の名産品が多彩に並びます。







屋外デッキも併設され、瀬戸内海を眺めながら倉敷産のレモンを使用した「倉敷プレミアムコーラ」や「塩田王 野崎家の塩サイダー」など、地域性豊かなドリンクも楽しめます。倉敷市下津井で牧場を営む「なんば牧場」のソフトクリームは、甘さ控えめでさっぱりとしたミルクの味わいが人気の一品です。
スタッフの方が「毎日この景色を眺めながら働けることが本当に幸せ。朝も夕方も、とにかく眺めが最高です」と笑顔で話してくれました。





館内には、地元食材を活かしたメニューが楽しめる「ローカル食堂」もあり、瀬戸内海を望みながら、ゆったりと食事を楽しむことができます。
また、王子が岳の書店「aru(アル)」の2号店では、東京と児島の二拠点で生活するオーナーが選書した、こだわりの新刊・古書を手にとることができます。
瀬戸内の海と空がゆっくりと溶け合う夕暮れを眺めていると、今日一日の出来事がじんわりと胸に染みわたります。
深まる秋、ここにしかない風景に出会いに、のんびりと瀬戸内の魅力を探しに出かけてみませんか。

児島をもっと楽しもう!
児島は観光や散策を楽しみたい方にはぴったりのエリアです。「瀬戸内国際芸術祭2025」秋会期中は無料観光バスが運行しています。また、予約不要・ガイド料無料の、地元ガイドとめぐるおすすめのまち歩きコースもぜひご利用ください。
インコントロ・モンド 児島観光周遊バス「Kozima City Sightseeing Bus」
「瀬戸内国際芸術祭2025」秋会期に合わせて、令和7年10月31日(金)から11月4日(火)まで5日間、児島の主な観光地を周遊する無料観光バスを運行しています。
DISCOVER WEST ハイキング 地元ガイドとまち歩き
『国産ジーンズ発祥の街と塩田王の野﨑浜の児島探索コース』をご紹介しています。
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