あなたの おかやま旅story 大募集

作品紹介

あなたの「おかやま旅ストーリー」に
たくさんのご応募をいただきありがとうございました。
応募開始〜7月31日までにご応募いただいた作品の中からいくつかをご紹介します。

ショート部門

投稿者/うまかくん 男性(24)兵庫県

2年ぶりに大切な人に会いに行く。
始発ののぞみ号で微睡んでいた。
今日はサンシェードを下ろしていない。
乗った時には、雨が降っていた。
俄に半身に日が差す。ぬくもりを感じる。
雨が止んだ。
ふとGoogleマップを見ると、岡山県に入っていた。

JR西日本 岡山支社長からのコメント

のぞみ号に乗車された時には不安な気持ちもあったのかもしれませんが、久しぶりの大切な方との再会を晴れの国が祝福しているような温かさを感じました。

投稿者/おーちゃん 女性(53)長崎県

「また転勤……」と、友人K代から涙声の電話。
「えっ、今度はどこね?」「岡山の赤磐市」
オイオイ、全国規模のスーパーとはいえ、旦那さんの転勤多すぎ! 私と出会った長崎で二店、兵庫で一店、長野で二店と一〜二年で引越しを繰り返している。
宮崎出身のK代は、三十代半ばで出産。一人娘Wは転園ばかりだ。
よし、元気づけに行こう! と五年前の秋、初めて赤磐を訪れた。
Wの成長ぶり以上に驚いたのが、K代の表情。過去は引越し先でしばらくはピリピリしていたが、今回は穏やかなのだ。
「赤磐って人が優しくて、暮らしやすかとですよ〜」とにっこり。
数日一緒に過ごし、ナルホドと実感。保育園でも飲食店でも人が親切で、「ゆっくり食べられぇ」などと、やわらかな方言で話しかけてくれる。自然豊かで食べ物もおいしく、内気なWもすぐ馴染んだそうだ。
その後旦那さんが出向し、赤磐へ腰を落ち着けたK代一家。今夏、三度目の訪問を計画している私だ。

JR西日本 岡山支社長からのコメント

新しい土地での転勤生活は不安が募るものでしょうが、訪れる人に元気をもたらす晴れの国を感じました。今後も多くの方にお越しいただきたいです。

投稿者/ヒトウレイ 女性(29)東京都

18歳の春、私は初めて岡山県を訪れた。
初めてのひとり旅。家族で旅行をする家庭でなかったから、ひとり旅の前に初旅行でもあった。
「なんで岡山?」と聞かれることは想定の範囲内。
今でこそ岡山県の魅力は周知されているが、当時は場所も知らない人が多かった。
好きな芸人の育った所だから、というのが理由だ。
推しが過ごした場所に行ってみたかったのだ。
推しにゆかりのある岡山市内、津山。倉敷に日生、岡山城も行った。
カキオコやホルモンうどんを食べた。
2泊3日でも足りないことを知る。

それから5年後、好きなバンドのツアーを追ってまたここに来た。
「おかえり」と言われた。そんな気がした。
ありきたりな表現で言うところの、「第二のふるさと」なのかもしれない。
近々また、「ただいま」を言いに行こう。

岡山県産業労働部 観光課長からのコメント

旅の目的は人それぞれで、「推し」ゆかりの土地を訪れるのもその一つです。岡山に来て、見て、食べて、体験して、人のファンに加えて岡山のファンになってくれる人がどんどん増えていけばと、心から思います。

投稿者/ムク坊 男性(85)神奈川県

一度だけあった岡山修学旅行

東海道新幹線が岡山駅まで昭和47年延伸され、川崎市の中学校の修学旅行に岡山の一泊が追加された。
岡山の宿の人たちは親切で岡山弁も愛情に満ちていた。翌日バスで鷲羽山に登った。中学生たちは秋晴れの瀬戸内の大パノラマの風景に感動した。何故かというと、私たちの川崎市立南大師中学校は工業地帯のど真ん中にあり、空は黒煙に覆われ、生徒たちは公害病に苦しんでいた。そういう最悪の環境に暮らしていた生徒たちにとって、鷲羽山から見た素晴らしい瀬戸内の風景は涙が出るほど感動した。
今でもその時の教え子たちの同窓会に出ると、みんなあの鷲羽山の素晴らしい風景と岡山の宿の優しい人たちの思い出を語り尽すことになる。美しい風景と優しい岡山弁、岡山の皆さんありがとう。

岡山県産業労働部 観光課長からのコメント

今から51年前、新幹線開業に湧く岡山、瀬戸大橋が架かる前の瀬戸内の風景に思いを馳せながら読みました。時代は大きく変わりましたが、旅先での感動が人の心に残ることは変わらないと思います。

投稿者/エリンギ 女性(48)福岡県

新緑眩しい2022年5月、博多発新大阪行きの新幹線に夫と乗り込む。行き先は縁もゆかりもなかった岡山。
GWを利用してつい1ヶ月前に大学進学を機に岡山で暮らすことになった息子に会いに行くのだ。せっかくだから観光も楽しみたい。1ヶ月ぶりに対面した息子とレンタカーで吉備津神社へ。全国でも例を見ない建築様式「吉備津造り」の社殿に目を奪われる。桃太郎が描かれたご朱印帳に一目惚れ。全長360Mの長い回廊を振り向きもせずどんどん歩く息子の後ろ姿をこっそり写真に撮る。
次に大好きだった朝ドラ、カムカムエブリバディに登場した岡山県総合グラウンドクラブへ。明治後期を代表する近代洋風建築物で、一階の喫茶も趣深い。
最後は日本三名園の一つ、岡山後楽園。元禄時代に思いを巡らせながら広い庭園を歩く。これまた息子は振り向きもせずどんどん歩く。また来るからと息子の背中にそっと誓う。いいところだねー、岡山。

JR西日本 東岡山駅長からのコメント

縁もゆかりもない岡山に、縁を繋いでくれた大学進学。岡山観光の場面では、親子にありがちな照れくささや、語らずとも背中越しに伝わったであろう親子愛に、おもわずホッコリさせられました。

投稿者/のんびり 男性(31)岡山県

列車が心地よく揺れている。
岡山に暮らしているが、観光客のごとく歩き回るのが好きだ。後楽園やその周辺を巡り、旭川沿いのカフェへと足を運ぶ。古い建物を改装したその場所からは、対岸と中州にある後楽園の木々が見渡せる。
読書をしつつも視線を上げれば、窓越しに青々とした葉が目に入る。今は夏だが、その眺めは季節に応じて変化するので、まさしく一期一会。同様に読んでいる本も月日とともに変わり、その旅は果てしない。
今度は匂いに意識を向ける。珈琲の香りが聞こえてきた。

JR西日本 岡山駅長からのコメント

四季折々の顔を持つ後楽園とその周辺の場所へは私も毎年必ず足を運びますが、必ず新たな発見があります。何度訪れても楽しませてくれるこの場所へこれからもお越し頂き、散策しながら岡山のフルーツ等も堪能してください。

投稿者/青山アン子 男性(47)埼玉県

梅雨明けも間もない、うだるような暑さの日、岡山への出張を終えて、まだ東京に戻ることもできたけれど、明日は会社も休みだし、宿を取ることにした。
休日の岡山もよく晴れていた。市内をひと通り観光して、倉敷まで足を伸ばしたところで夕立ちに見舞われた。それほど長くは降らないだろうと、美観地区近くの喫茶店に入ってコーヒーを注文した。

「お待たせしました。それから今日は雨なので、飴を差し上げています。桃とマスカット、どちらがいいですか?」
コーヒーを運んできた店員に、そう尋ねられた。
「それじゃあ、桃を……」
「はい、どうぞ」

涼しい店内で飲んだ、熱くて渋いコーヒーは美味かったし、駅までの道すがら舐めた桃の飴も、優しい味だった。
またいつかあの店に入って、今度はマスカット味を舐めてみようと思う。
雨、降るといいけど。

JR西日本 倉敷駅長からのコメント

雨の日のサプライズ対応、ちょっとしたおもてなしが旅の1ページに刻まれます。「晴れの国 岡山」、少しぐらい「雨の国 岡山」があってもよいですね。

投稿者/1653 女性(25)岡山県

二〇二三年四月、大麦の研究をするために、住み慣れた東京を離れ、岡山・倉敷で新生活を始めた。黄色の電車、用水路がある街並み、聞きなれない言葉。毎日が、「はじめて」で溢れていた。
六月。「まえに、東京に桃を送りたいって言っていたでしょう? 知り合いが桃農家なの。これ、食べてみて。」ビニール袋から、薄ピンクのきれいな桃が一つ、こちらを覗いていた。「東京で食べる桃は黄色いだろうけど、岡山の桃は白いんよ。すこし冷やして、かぶりついてごらん。」
岡山で初めての桃。わくわくした。…あれ、洗っていいんだっけ。かぶりつくってどうやって?すこし悩んで、結局、人と一緒に食べることにした。桃は切ってもらった。「僕の今年の初桃だよ。いただきます。
うん、すこし若いけどおいしいね。」初桃という言葉があるのか。次、桃を食べるときはかぶりついて食べてみよう。そう決めた、蒸し暑い日の夕方だった。
秋と冬には、どんな「はじめて」が待っているだろうか。

JR西日本 津山駅長からのコメント

フルーツ王国といわれる岡山、中でも人気の高い「岡山の桃」白桃の瑞々しさが良く表現されていて、桃を食べている様子がとてもおいしそうでした。私も白桃が食べたくなりました!

投稿者/ルマージュ 女性(26)岡山県

「おはよう。梅雨なのに晴れたね!」
「岡山ですから。」
先輩が金沢からサンダーバードと新幹線を乗り継いで、はるばる岡山まで遊びに来てくれた。今日のお目当ては新鮮なフルーツを使ったおまち堂のかき氷。
「何にします? 私は白桃かシャインマスカットで悩んでます。」
「どっちも頼んでわけっこしよ。」
真っ白な氷の上に、白桃がこぼれそうなほど乗っている。落ちないようにそーっとすくって口に運ぶと、夏の始まりにぴったりな爽やかな甘さが広がる。隣の先輩も大粒のシャインマスカットが転がらないよう、慎重に食べ進めている。
「おいしいね! 岡山の名物が白桃とかマスカットでよかった。みかんじゃここまでテンション上がんない。」
「特別感ありますよね。旅のご褒美ですね。」
すだれの隙間から、涼しい風が吹き込んでくる。
「次はどこいこっか。」
「王子ヶ岳はどうです?」
夏も旅も、まだ始まったばかり。

JR西日本 児島駅長からのコメント

晴れの国岡山へようこそお越しいただきました。拝見させていただいただけで白桃の甘い香りが漂ってきそうです。是非とも岡山の色んなところへお越しいただき夏を満喫していただきたいです。

投稿者/もものたね 女性(65)岡山県

頭島は、瀬戸内海に浮かぶ島である。ずっと以前から、日生から鹿居島までは橋が架かっていたが、数年前に鹿居島からその先の頭島まで橋ができ、車で行けるようになった。岡山市内までの通勤が可能になり、友人は移住を決めた。古民家を改築しての移住である。その彼女が家に招待してくれることになった。岡山から赤穂線に乗り、東に向かった。単線の赤穂線は低い山の間を縫うように進んでいく。瀬戸内海の近くを通っているはずなのに山の間を走るから不思議だ。伊部を通り越したころ、山の間から海が見えは始めた。あぁ、やはり海の近くを入っていたのか。やがて、電車は日生港に面した日生駅に着いた。
改札口を抜けると、友人の車が出迎えてくれた。
車で15 分ほど走ると、海を越えて頭島に入った。太陽の光が穏やかな瀬戸内海に反射して、美しい光景が広がった。頭島で採れた牡蠣をごちそうになった。山あり海あり、豊かな岡山が改めて好きになった。

JR西日本 新見駅長からのコメント

頭島まで橋の開通を祝う備前(ハート)日生大橋マラソンに参加したのを思い出します。橋から望む日生の海はとても美しく、正に日本のエーゲ海だと感じました。何を隠そう私も移住したいと思った一人です。

俳句・川柳部門

投稿者/うし太郎 男性(61)愛知県

見る角度 変えて烏城の 七変化

投稿者/てぬき親父 男性(71)茨城県

サンシャイン パワーをもらう 晴れの国

投稿者/PON5 男性(49)滋賀県

晴れの国 胸なでおろす 雨男

投稿者/かずーりお 男性(46)岡山県

風薫る 蔵の香漂う 石畳

投稿者/糸車 女性(79)神奈川県

秋深し 店に寡黙な 備前焼

投稿者/COCO 女性(65)新潟県

漆黒の 闇に堂々 烏城

投稿者/酒呑童子 男性(72)岡山県

閑谷の 楷もまた燃ゆ 陶の里

投稿者/けんちゃん 女性(28)岐阜県

鮮やかに 旅路彩る 祭り寿司

投稿者/てつお 男性(67)三重県

吉備の国 歩ききれない 奥深さ

投稿者/三好泥子 男性(94)岡山県

学友夫妻 集ふ奥津の 谷紅葉

投稿者/河内音頭 男性(86)大阪府

猿と見る 青い空から 落ちる滝

投稿者/アルサプア 男性(75)宮城県

グルメ旅 桃にブドウに 吉備団子

投稿者/のりのり 女性(57)徳島県

デニム履き 夫婦で歩く 美観地区

投稿者/風信子 女性(63)東京都

幻想の 夜は艶やかな 後楽園